薬局でお薬をもらうときに、「ジェネリック医薬品でもよろしいですか?」と聞かれることは無いでしょうか?また、TVのコマーシャルでも「○○のジェネリック」というフレーズは有名であり、今日では頻繁に聞こえてきますね。
ジェネリック医薬品のジェネリック(generic)とは、英語で「一般的な」という意味を持つ単語です。
欧米ではブランド名ではなく、一般名(generic name)で薬を処方することに由来して、「ジェネリック医薬品(generics)」と呼ばれています。そしてそれが世界共通の名前となり、日本でもその呼び方が広まりました。
ここでは、そんな後発医薬品とは一体どういったものなのか?また、そんなジェネリック医薬品への変更方法について詳しく紹介していきますね。
もくじ
医薬品の基礎知識
「薬」と一口に言っても、処方箋がなければ手に入れられない医薬品や処方箋がなくても手に入れられる医薬品など、その種類はさまざまです。
ここでは普段あまり意識せずに「薬」と一括りにしてしまいがちな医薬品について、超基礎的な知識についてご紹介します。
「医療用医薬品」と「一般用医薬品」
医薬品は「医療用医薬品」と「一般用医薬品」の2つに大きく分けられます。
医療用医薬品とは、医師の診断のもと発行された処方箋から薬剤師が調剤するもののことを言います。処方薬とも呼ばれ、使われている有効成分の含有量が多く、患者さんが自由に購入できるものではありません。
それに対して一般用医薬品とは、薬局やドラッグストアなどで処方箋がなくても自由に購入して使用することのできるものを言い、市販薬やOTC医薬品とも呼ばれています。
ちなみにOTCとは「Over The Counter」の略語で、「カウンター越しに買える薬」や「対面販売で薬を買うこと」を意味します。
子どもからお年寄りまで幅広い人々が使用するため安全性が重視されており、有効成分の含有量は医療用医薬品に比べて少ないもののほうが多いです。
「先発医薬品」と「後発医薬品」
さらに医療用医薬品は、「先発医薬品(新薬)」と「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」の2つに分けられます。
先発医薬品(新薬)は新しい成分を長い研究開発期間と数百億円以上の費用をかけて開発し、そしてその有効性や安全性が確認された後、国の承認を受けて発売された医薬品のことを言います。
また開発した企業は、先発医薬品(新薬)発売後の一定期間(再審査期間)、有効性や安全性について確認することを義務付けられています。
そして開発した企業は特許の出願によってその医薬品を独占的に製造・販売することができます。
さて先発医薬品(新薬)の特許期間が満了になると、その権利は国民の共有財産となります。したがって他の製薬会社や企業が同じ有効成分を使った医薬品を製造・販売することができるようになり、それを後発医薬品(ジェネリック医薬品)と言います。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは
ジェネリック医薬品の基礎
ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の有効成分そのものに対する特許が切れた後に、他の製薬会社によって発売されるものです。同じ成分、同じ効き目の医薬品であり、後発医薬品とも呼ばれています。
また有効成分は新薬(先発医薬品)とは変わりませんが、新しい技術により服用のしやすさや服用の間違いを防ぐ工夫が行われているものが多くあります。
さらには味の改良や小型化、錠剤やシートの表示工夫などがされているものもあります。
ジェネリック医薬品には抗アレルギー剤や抗がん剤、高血圧、糖尿病、高脂血症の治療薬や抗生物質といった数多くのものがありますが、医薬品の種類によってはジェネリック医薬品がない場合もあるため注意が必要です。
ジェネリックは価格が安い
現在医療の現場で使われているお薬は、先発医薬品と後発医薬品の2つに大別されます。(一部、例外の基礎的医薬品などがあります。)
医療用医薬品として初めて上市された先発医薬品は4~8年間の特許期間を有しており、その特許が切れると、後発医薬品が発売されます。後発医薬品は先発医薬品と同一の成分を有する一方で、薬価は4~5割と、非常にお得な薬剤です。
医療費を下げようとした場合、後発医薬品を積極的に希望すると良いでしょう。
後発医薬品は何のためにあるの?
後発医薬品は何のために存在しているのでしょうか。
国民医療費は平成27年度の時点で、42兆3600億円余りといわれています。これは高齢化の進展や医療の高度化によるもので、今後もさらに増加するであろうと言われています。
一方で、我が国における出生率は低く、人口は減少していくと予想されています。より少ない財源でより多くの高齢者を支えていかなくてはならず、何らかの対策が必要とされています。その中で約10兆円と言われる薬剤費を削減することが、当面の目標とされているのです。
先発医薬品を後発医薬品に置き換えることで、薬剤費を半減させることが可能となるので、単純計算で5兆円近い医療費の削減が見込まれるのです。(実際は薬剤費以外の調剤料なども含まれるため、削減効果はもう少し低いものとなりますが…。)
先発医薬品と後発医薬品の違い
色や形、添加剤の違い
先発医薬品と後発医薬品の関係性として、有効成分と効能・効果が同一であるということが大原則となっています。一方で、原薬や添加物、製法、製造工場、形状・色・味は同一である必要はありません。
有効成分は同じですが、添加物が異なるということによって、効果の出方に影響があること言う意見も少なくはありません。
一方で、後発医薬品では後から発売されるため、最新の技術をもって作られることで、先発医薬品よりも優れた医薬品も存在します。具体的には、錠剤がより小さいもの、味がより良いシロップ、常温で保管可能なシロップや点眼剤など、様々な製剤改良が施されています。
色や形については最新の製剤技術によって先発医薬品より飲みやすく改良されているものがありますが、効能・効果や安全性は同等です。
また添加剤の成分や配合量が先発医薬品と違っていても、後発医薬品の承認審査において「有効性や安全性に違いが出ていないか」「先発医薬品と同等か」という確認を行っています。したがって有効性や安全性に変わりはありません。
価格の違い
先発医薬品と後発医薬品の有効性や安全性は同等ですが、後発医薬品のほうが安価の場合がほとんどです。しかし先発医薬品より後発医薬品のほうが安価だからといって、品質の面で先発医薬品に劣るわけではありません。
後発医薬品は先発医薬品の長期間に渡る臨床使用経験などを踏まえて開発、製造されます。ゆえに後発医薬品の承認審査は、先発医薬品ほど多くの試験項目が必要とはなりません。したがって研究開発に必要な費用が少なくて済みます。
また先発医薬品の使用経験により、有効性や安全性に関わる評価はすでにある程度確立されているため、情報提供などに関する販売管理費も少なくなります。
このような理由から、後発医薬品は先発医薬品に比べて安価で提供されているわけです。
これまで先発医薬品を希望していた方も、一度ジェネリック医薬品を試してみてはいかがでしょうか。
値段は後発だけど中身は先発?注目される「オーソライズドジェネリック(AG)」とは
先ほどのご説明の通り、後発医薬品は原薬や添加物、製法、製造工場、形状・色・味は同一である必要はありません。
しかしながら、後発医薬品の中には先発医薬品を製造している会社から許可を受け、同一の製法や製造工場で製造している医薬品も存在しています。
これはオーソライズドジェネリック(AG)と呼ばれ、異なるのはパッケージや刻印だけであり、お薬としての効果の出方についても同一であるとされています。
にもかかわらず、薬価はその他の後発医薬品と同様に4~5割であるため、注目を集めています。
ジェネリック医薬品に抵抗のある方は、オーソライズドジェネリックが存在している医薬品から試してみると良いでしょう。
ジェネリック医薬品への変更方法
薬局が勝手にジェネリックに変更できる?
ジェネリック医薬品への変更方法についてですが、まず患者の同意なしに薬局や薬剤師が勝手にジェネリック医薬品に変更することはありません。
薬剤師は患者に対してジェネリック医薬品に関する説明をし、同意を得ることでジェネリック医薬品へ変更して調剤することができます。
医療機関から発行される処方箋の変更不可蘭に「✓」または「×」が付いていない医薬品の場合は、ジェネリック医薬品へ変更することができ、その際に薬局にて「ジェネリック医薬品を希望したい」と申し出れば変更することができます。
薬の種類によっては変更不可
ただしジェネリック医薬品のない新薬や薬の種類によっては変更できないことがあります。
また医師から「ジェネリック医薬品へ変更不可」の指示がある場合は薬局で変更できません。その場合はジェネリック医薬品へ変更したい旨を医師に伝える必要があります。
お試し調剤
ジェネリック医薬品に変更する際に処方日数分すべてを変更してもらう方法と、まずはお試し期間として短期間分のみ処方してもらう「分割調剤」いわゆる「お試し調剤」という方法があります。
「お試し調剤」はお試し期間が終了した時点で副作用や体調の変化がなかった場合、そのままジェネリック医薬品の服用を続け、何か不都合なことがあれば変更前の先発医薬品に戻すことができます。
したがってジェネリック医薬品に変更したいけれど、いきなり変更するのは不安だという人に「お試し調剤」はおすすめです。
推進されるジェネリック医薬品の使用
日本の医療制度は国民が何らかの保険に加入している「国民皆保険」と呼ばれる制度です。患者が医療機関や薬局で支払う医療費やお薬代は全額ではなく一部であり、残りは加入している健康保険組合や市区町村などが支払います。そしてこれらの財源は我々がそれぞれ加入している保険組合へ支払っている保険料と公費によるものです。
ところが我が国の医療費は年々増加しており、ジェネリック医薬品はその医療費の削減に貢献するとされています。また諸外国においても医療費抑制の施策の1つとしてジェネリック医薬品の使用が推進されており、アメリカではジェネリック医薬品の普及率が90%を超えています。
日本でも政府が「2020年9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とする」というジェネリック医薬品の使用を加速させることを目標としています。
まとめ
今回は後発医薬品についてご説明いたしました。
ジェネリック医薬品への変更は、発行された処方箋の変更不可蘭に「✓」または「×」が付いていない場合は可能であり、薬局でジェネリック医薬品へ変更したい旨を伝えれば変更できます。
ただしジェネリック医薬品がない場合や医師の治療方針でジェネリック医薬品を使用しない場合もあるため注意が必要です。
後発医薬品の普及は薬剤師さんの責務の一つともされているので、不明な点があれば薬剤師さんに聞いてみると良いでしょう。
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