こんにちは、医療事務ブロガーの元ヤン次女 (@iryojimu_hikaku) です!
病院を受診する際に、必要となる保険証。しかし、「あっ、保険証を忘れてしまった。」と、誰しもが経験することではないでしょうか。
「カラダがだるい、頭が痛い、イライラする」などの症状がある中で、持ち物をしっかり準備できないのは仕方ないことですよね。
では、もし保険証を忘れてしまった場合どうなるのでしょうか?
そんな方に向けて、ここでは病院受診時に「保険証を忘れてしまった場合」の対処法について解決できる記事を書きました!
記事を読めば、万が一保険証を忘れたとしても、慌てず冷静に対応することができるようになりますよ!
これからは「保険証」のことで悩むことをやめましょう。
それでは、どうぞ!
もくじ
そもそも保険証とは
日本の保険医療制度とは日本の国民すべての人が加入している公的医療保険で成り立っています。
公的医療保険の代表的なものとして「国民健康保険」と「社会保険」のふたつが挙げられ、さらに社会保険も保険に加入している本人の職種によって細かく分類されています。
保険に加入している被保険者が医療機関をした際、本来であれば自己負担額10割であるところを、保険に加入していることで保険診療が受けられ医療費が3割の自己負担で済むことになります。
(医療費1万円だった場合の自己負担金)
保険証とは健康保険に加入しているという証明であるため、医療機関を受診する際は必ず保険証を提出しなければなりません。
保険証から分かること
保険証が保険に加入している証明だということが分かりました。では、医療機関では保険証のどの部分の確認を行っているのでしょうか。
医療機関では毎回保険証の確認を求められます。通院している患者さんも月に1回は必ず保険証の提示をお願いされます。保険証には患者様の氏名、生年月日、保険の種別、保険の資格取得日、資格喪失日が一枚に全て記載されています。医療事務が保険証の確認を行っているのは、この全ての情報を確認するためです。
医療事務は毎月「診療報酬請求事務」という請求事務作業を行っています。患者様が窓口で支払った3割の医療費の残り7割分を患者様が加入している保険者へと請求するという業務です。
請求にあたりレセプトと呼ばれる診療報酬明細書を作成するのですが、そこに保険証に記載のある患者様の保険情報を記載する必要があるのです。保険証が無ければ残り7割分の請求事務が出来なくなってしまうため、請求事務を行うために必要となる保険情報の確認のために、病院では保険証の確認を行っているのです。
保険証を忘れてしまった場合
基本的には全額自己負担
では、医療機関を受診する際保険証を忘れてしまった場合はどうなるのでしょうか?
一般的に保険証なしで病院を受診した場合でも診察を受けることができます。しかし受診した際の医療費は全額自己負担になります。
保険適用してくれる場合
初診の医療機関を受診した際に保険証を持参しなかった場合の医療費は全額自己負担になりますが、「馴染みの医療機関」の場合はその限りではありません。
かかりつけの病院やクリニックをはじめとした継続して通っている医療機関などは、その患者さんを以前から知っています。当然、もともと保険証を持っていることも知っています。したがって保険証を忘れた場合でも、診療に保険を適用してくれることがあります。
ただし基本的に継続して通っているならば次回、そうでないのならばその月の内に保険証を持ってくることが前提の上です。したがってよく通う医療機関で保険証を忘れた場合は、まず受付や窓口で相談するとよいでしょう。
しかし本来ならば保険証がない状態での診療は全額自己負担となるのが普通です。保険証を忘れても保険を適用した金額で支払ってもよいと言ってくれるのは、医療機関側の善意と患者さんへの信頼に他なりません。
返金方法
後日払い戻してもらう方法
保険証が無いということは保険に加入している証明の確認が取れないため、医療費は自費での支払いになるのが基本です。
全額自己負担となると高額な支払いとなってしまいますが、後日その日の医療費の明細書と保険証を病院の窓口へと持って行けば、後から払い戻しが可能です。
精算する際に「後日保険証と領収書を持ってきてもらえれば、保険分の差額を返金します」と案内してくれることもありますが、医療機関の受付や窓口での払い戻しは義務ではないため、必ずしもすべての医療機関が対応しているわけではありません。
また払い戻しに対応していたとしても、医療機関によって「〇〇日以内」「〇〇日まで」など、手続きに期限を設けている場合もあります。
病院によって、払い戻しの期日が違ってきますので必ず払い戻し手続きが可能な期間を確認しておくことが大切です。
療養費として払い戻し方法
もし期日までに払い戻し手続きが不可能な場合であれば、自治体の国民健康保険の窓口または社会保険であれば健康保険組合の窓口を通して手続きを行い払い戻し手続きが可能です。
この場合も病院で支払った医療費の明細書が必要になるため必ず手元に保管しておきましょう。
医療費の払い戻し申請の期間は2年間になります。できるだけ、早めに受診した医療機関での払い戻しを行うようにしましょう。
出張中や旅行中などで遠くの医療機関に保険証を持参せずに受診した場合、たとえその医療機関が払い戻しに対応していたとしても、後日再びそこへ赴くことは難しいものがあります。
遠方の患者さんに対して、FAXや郵送で精算に応じてくれるところもあるようですが、そのような医療機関の数は多くありません。それではどうすればよいのでしょうか?
実は医療機関が払い戻しに対応していない場合や医療機関の提示する期限に間に合わない場合は、自身が加入している健康保険組合や国民健康保険に「療養費の申請」の手続きをすることで払い戻してもらうことができます。
なぜなら健康保険には、やむを得ない事情によって保険医療機関で保険診療を受けられず、医療費を全額自費で支払った場合、あとで請求することによって療養費として払い戻しを受けることができる給付制度があるからです。
ただし、療養費は必ずしも支払った医療費の全額が払い戻されるわけではないため注意が必要です。
保険証のコピーでも大丈夫?
ちなみに「氏名や保険情報さえ分かれば…」と保険証のコピーを提示しようとする人もいます。
常に保険証のコピーを持ち歩いていればいつでも受診できると考えている人もいるようですが、これは間違った認識になります。
保険証は原則原本での確認が必要となっています。
保険証のコピーを使い本人になりすまして受診するなど保険証を悪用する人も実際少なくはありません。そのため、いくら保険証のコピーで保険情報が確認できる!と言っても、保険証のコピーには効力は無いことを知っておきましょう。
子供の学校行事や修学旅行に、保険証のコピーを持たせる方もいますが、緊急の場合でも基本的には全額自己負担ということを認識しておきましょう!
保険証の写メも論外です。やめておきましょう!
調剤薬局の場合
保険証を忘れたときの調剤薬局の対応は基本的にこれまで述べた医療機関の対応と同じです。
ただし調剤薬局と医療機関で保険請求に齟齬があると困るため、患者さんが受診した医療機関が払い戻しに応じなければ、調剤薬局も同じようにします。この場合は療養費の申請手続きをしてもらうことになります。
したがって調剤薬局としては、受診した医療機関が払い戻しに対応してくれるならば先にその医療機関で払い戻してもらい、その後調剤薬局で払い戻しに来てくれると助かるのが本音です。
まとめ
調剤薬局を含め医療機関では、保険証を忘れたときは全額自己負担での支払いが基本です。後日保険証と領収書を持参することで払い戻しに応じてくれるところもありますが、そうでない場合は加入している健康保険の保険者に請求しましょう。
また、保険証のコピーには効力が無いため保険証を忘れた場合、全額自己負担となり後日明細書と共に保険証を医療機関に提示し払い戻し手続きを行う流れになります。
その為、保険証と受診した日の明細書は紛失しないよう払い戻しまでしっかりと保管しておくことが大切です。
今回の記事で分かること