新型コロナウイルス感染拡大に伴い、医療機関の受診が難しい現状を鑑みた一時的で特例的な対応として、電話や情報通信機器を使った診療や服薬指導等の取扱いについて厚生労働省より通達されたことは、医療従事者にとっては記憶にも新しいでしょう。
FAX処方箋調剤とは
FAX処方箋調剤とは、今年の4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」において、「新型コロナウイルス感染症が急激に拡大している状況の中で、院内感染を含む感染防止のため、非常時の対応として、オンライン・電話による診療、オンライン・電話による服薬指導が希望する患者によって活用されるよう直ちに制度を見直し、できる限り早期に実施する。」とされたことによって生まれた特例的な措置の1つです。
医療機関からFAXなどによって処方箋情報の送付を受けた薬局は、「薬剤師法(昭和35年法律第146号)第23条~第27条、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第49条における処方箋とみなして調剤等を行う」とされています。
また処方箋の原本は可能な時期に医療機関から入手し、送付されてきた処方箋情報とともに保管することが決められています。
服薬指導について
服薬指導等の実施について は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止等のために、薬剤師が患者や服薬状況等に関する情報を得た上で、電話や情報通信機器を用いて服薬指導等を適切に行うことが可能と判断した場合には、すべての薬局において遠隔で服薬指導等を行ってもよいとされています。
ただし、吸入薬や注射薬などの服用に際してテクニックが必要な薬剤については、受診時の医師による指導の状況や患者の理解に応じ、遠隔で服薬指導を適切に行うことができると判断した場合に限り実施しなければなりません。
また患者の状況などによっては対面での服薬指導が適切な場合や、次回以降に対面での服薬指導を行う必要性がある場合もあります。
遠隔での服薬指導等を適切に行うことが難しいと判断したときには、対面での服薬指導等を促す必要がありますが、その場合は薬剤師法(昭和35年法律第146号)第21条に規定する調剤応需義務に違反するものではないとしています。
薬剤の配送について
調剤した薬剤の受け渡しについては、患者と相談して書類郵便などを用いて確実に受け渡しができるようにします。そして薬剤を発送した後は、きちんと患者の手に渡ったかを電話などで確認する必要があります。
ただし薬剤によっては、品質保持のために温度管理などの特別な注意が必要なものや、早急に受け渡す必要があるものもあるので、その場合は適切な配送方法を利用するか、薬局のスタッフが直接届けたり、患者やその家族に来局してもらったりするなどの工夫が求められます。
またお薬代や配送料は、薬局によって配送業者による代金引換、銀行振込、クレジットカード決済、その他電子決済等の支払方法により実施されます。
薬局側が気を付けること
薬局は電話や情報通信機器を用いた服薬指導等を行う場合には、次の点について薬局内の掲示やホームページなどを通じて、事前に患者や医療機関関係者などに周知しなければならないとされています。
まず服薬指導でどのような機器が用いられるのかについてです。電話を使うのか、テレビ電話を使うのかなどは薬局によって違います。また服薬期間中の服薬状況の把握にも用います。
次に処方箋の受付方法はFAXなのか、あるいはメールやアプリケーションを用いるのかといったことや、薬剤の配送方法、そして支払方法(クレジットカード決済できるのかなど)についても周知する必要があります。
まとめ
FAX処方箋調剤とは新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため一時的・特例的な対応として生まれた措置の1つです。
薬局側も患者側も手間がかかりますが、新型コロナウイルス感染収束に向けて必要な措置だと言えます。
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