調剤薬局事務は、薬剤師をどこまでサポートして良いのでしょうか?
調剤薬局事務は民間資格ではいくつか資格が存在していますが、勤務するために必須の資格ではありません。
一方で薬剤師は国家資格であり、薬剤師の資格がなくては出来ない業務というものも存在しています。
良かれと思って業務を手伝った際に、法律違反になってしまうこともあるのです。
根拠となる「薬剤師法第19条」と「医薬品医療機器等法施行規則第11条の8」
薬剤師の業務範囲を示す根拠となっている法律に、「薬剤師法第19条」というものがあります。
ここでは、
薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。
ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる目的において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。(薬剤師法より抜粋)
と明記されています。
また、「医薬品医療機器等法施行規則第11条の8」という規則に、「薬局開設者の遵守事項」が定められています。
ここでは、
「薬局開設者は、その薬局で調剤に従事する薬剤師でない者に販売又は授与の目的で調剤させてはならない。(以下略)」(医薬品医療機器等法施行規則より一部のみ抜粋)
と記載されています。
このことから、薬剤師ではない調剤薬局事務は、調剤行為の補助をすることは出来ないと明確に定義されています。
どこまでが「調剤行為」なのか
では、調剤行為とはどこまでが範囲となるのでしょうか?棚から錠剤を取り出すことは「調剤行為」となるのでしょうか?
調剤行為とは、処方箋の確認からはじまり、薬剤の取り揃え(ピッキング)、監査、疑義照会、投薬、薬歴記載などの一連の流れのことを総称しています。
今回の調剤事務が手伝える範囲について、参考となる通知が2015年6月25日に厚生労働省医薬食品局総務課より、課長通知として各都道府県に通達されています。
ここでは、
「少なくとも軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を薬剤師以外の者が直接計量、混合する行為は、たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても薬剤師法第19条への違反に該当する」
とされています。
薬剤師が監督をしていたとしても、軟膏剤、水剤、散剤を量ったり混合する行為は、現行法では固く禁じられているのです。
一方で裏を返せば、それ以外の行為については、グレーゾーンということになります。
錠剤を取り出す行為についても、薬剤師がしっかりと監督を行い、ダブルチェックなどでしっかりと薬剤師が監査をした場合には、問題は無いと考えることも出来るのです。
手伝ってはならない業務
手伝ってはならない業務には、どのようなものがあるのでしょうか。
まず、前述の通り、調剤行為の中でもとりわけ軟膏剤、水剤、散剤を量ったり混合する行為は手伝うことは出来ません。
また、これらの計量混合業務がない場合でも、調剤におけるすべてを手伝うことは出来ないと考えられます。
その他、投薬や薬剤服用歴管理業務については、無資格者が行うことは固く禁じられています。
手伝ってよい業務
手伝ってよい業務には、どのようなものがあるのでしょうか。
まず、保険全般の業務については、調剤薬局事務がサポートすることは問題ありません。
また、調剤における一部のサポートは問題ないと考えられるため、薬袋の準備や錠剤の用意などは、薬剤師の監督下であれば容認されることとなります。
まとめ
今回は、調剤薬局事務がサポートできる範囲について、ご説明させて頂きました。
昨今では無資格調剤による保険薬局取り消しのニュースなども、目にすることはしばしばあります。
薬剤師をサポートする際には、どこまでをサポートして良いのかを明確にすることが大切と言えるのです。
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