悪質あるいは違法な労働条件で働かせる会社を「ブラック企業」と呼ぶようになって久しいですが、薬剤師や調剤薬局事務にとっても他人事ではありません。
調剤薬局の中にも「ブラック調剤薬局」があり、そこで働く従業員たちを日々苦しめています。ここでは、そんなブラック調剤薬局の特徴と気をつけるべきポイントについてご紹介します。
もくじ
ブラック調剤薬局とはどのようなところか
調剤薬局事務の仕事がブラックなのかそうでないのかは、勤める職場によって違うため、調剤薬局事務という職業全体を通してブラックかどうかを判断することはできません。
ただブラックな調剤薬局で働くなら、その調剤薬局事務もまたブラックだと言えるかもしれません。
そもそもブラックな調剤薬局とはどのようなところなのでしょうか?明確な定義はありませんが、ブラック調剤薬局であるかどうかを判断する1つの指標としてサービス残業の多さが挙げられます。
サービス残業が当たり前
ブラック調剤薬局の定義は曖昧ですが、就業状態や労働環境などが悪い調剤薬局は確かに存在します。調剤薬局に限った話ではありませんが、サービス残業が多いところはブラック調剤薬局であると言っていいでしょう。
風邪やインフルエンザが流行る季節や、冬場の患者数が多くてどうしても忙しくなる時期は仕方ないとしても、毎日数時間、閉局後にサービス残業をして薬歴(薬剤服用歴)の処理をしはじめる薬剤師がいるところは要注意です。人手不足で労働時間が長いくせに給与が変わらないため危険です。
サービス残業が多いということは、明らかに人手が足りずに労働時間が長引いている証拠ですし、給与も変わらないため要注意です。
休憩時間が短すぎる
次に、多忙で休憩や有給休暇が取れないというところも十分ブラック調剤薬局の可能性があります。途切れることなく患者さんの来局があり、まとまった休憩時間が取れないようなところは明らかに人手不足です。
そして人手が足りない状態が一時的なものではなくずっと続くようならば、それは意図的にそうしているということなのでブラック調剤薬局と言えるでしょう。
薬局長や職場の人間関係に注意
小さなコミュニティ
特に中小規模の調剤薬局は従業員の数が少ない分、経営者やそこで働く人たちに職場の雰囲気を大きく左右されます。したがって、人間関係が荒れやすい土壌だと言えるでしょう。
また調剤薬局事務は、調剤薬局の中で一番立場が低いこともあり、その影響を受けやすいため注意が必要です。
薬局長ハラスメント
そして最も気をつけなければならないのが「薬局長はどのような人間か」ということについてです。
セクハラ、パワハラは当たり前で患者さんの前でも平気で従業員を怒鳴り散らして叱る、機嫌が悪いと従業員に当たってストレスを発散させる、自分は仕事をせずにスマートフォンをいじりながら従業員の行動を監視するなどのいわゆるモンスター薬局長がいるところは即刻退職すべきブラック調剤薬局です。
無資格調剤を行っている
調剤業務は国家資格を持つ薬剤師にしかできません。それにもかかわらず、調剤薬局事務が一包化や半錠、水剤・散剤・軟膏の計量や混合を行っている調剤薬局が存在します。
調剤薬局事務による錠剤のピッキング(計数調剤)はグレーゾーンとして黙認されていますが、これらは明らかに違反行為です。
このように何の責任も持てない調剤薬局事務に調剤させている調剤薬局はまぎれもなくブラックであり、モラルを疑いますし、何より法律に反しています。
人手が足りなくて調剤薬局事務に調剤を行わせているところもあれば、会社の方針として調剤薬局事務にやらせているなんてところもあります。薬剤師を複数雇うより人件費が安く済むからかもしれませんが、患者側にとってもとんでもない悪徳調剤薬局です。
転職時にチェックすべきポイント
労働時間チェック
これまでブラック調剤薬局の特徴を紹介してきましたが、何を「ブラック」と感じるかは人それぞれであるため、自分がどこから「ブラック」だと感じるのかを明確にするとよいでしょう。
それでは、転職時に気をつけるべきポイントについてですが、まず
- 「土日も営業している」
- 「営業時間が長い」
- 「薬剤師が1人しかいない」
- 「総合病院の門前薬局である」
というところは激務になりやすいためできるだけ避けましょう。
職場の雰囲気チェック
転職サイトのアドバイザーやエージェントに頼ることもできますが、まずは自分で現場を見ることが大切です。
したがって実際に職場へ行き、
- 「薬剤師の数は十分か」
- 「雰囲気や人間関係は悪くなさそうか」
- 「従業員の年齢層が偏っていないか」
などを自分の目で確かめるとよいでしょう。
まとめ
調剤薬局事務という職業全体を通してブラックであるかどうかを一概に言うことはできません。しかしブラックな調剤薬局が存在するのは確かです。
調剤薬局は大手チェーンから中小規模のものまでさまざまあり、求人募集も多い職業ですが、事前にしっかりと下調べをして失敗のない転職にしましょう。
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