医療機関などを受診してお薬を交付された際には、多くの場合は「食後」に飲むように指示が記載されています。では、なぜ食後に飲まなくてはならないのでしょうか?
また、そもそも「食後」とは食事のあと、どのくらいの期間のことを指しているのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
もくじ
食後とは食事の20分~30分のことを指す
食後とは、一般的には「食事のあと20~30分の間にお薬を服用すること」を指しています。
食事の際にお薬を横に置いておいて、食事が終わるとすぐに服用する方が多いと言われていますが、厳密にはこの飲み方は間違いと言えます。
お薬はなぜ食後に飲まなければいけないのか
お薬の用法を決定する際には、明確な理由がある場合と、ない場合があります。
●明確な理由がある場合
鎮痛薬や消化剤などの、胃に負担のかかるお薬が該当します。
これらのお薬では、胃の中に食べ物が入っていることで、胃壁や胃粘膜とお薬が触れる頻度を減らすことが出来るため、胃への負担を減らすことが出来るのです。
また、お薬の吸収において、食物の存在が重要となる場合があります。
例えば、2017年11月現在で、最近発売された「アメナリーフ」という帯状疱疹のお薬では、食後に服用することが重要とされています。
空腹状態で飲んでしまった場合には、お薬の吸収が大きく減少することが分かっているので、効果を十分に発揮できなくなってしまうのです。
このように、食物そのものや、食物の存在によって影響を受けるpHや胆汁がお薬の吸収に影響を及ぼす場合においても、食後に服用することは重要といえるのです。
●明確な理由がない場合
一方で、定められている用法に明確な理由がない場合もあります。
これは、お薬の吸収には影響はないが、臨床試験時に使用した用法に倣って用法が決定されている場合などが、代表的といえます。
このような場合では、医師の判断で、服用時期を調節することも可能となります。
その他の用法について(食前、食直前、食直後、食間など)
それでは、食後以外にはどのような用法があるのでしょうか。
「食前」という飲み方は、「食事の30分くらい前」のことを指しています。
この「食前」という用法についても、間違いの多い用法として注意が必要と言われています。
多くの方は、「食事のすぐ前に服用すること」と誤解しているのです。
食事のすぐ前に服用する用法は、「食直前」という指示になるため、注意が必要となります。
また、同様に食事のすぐ後に服用することを、「食直後」と表現します。
そのほか、「食間」という用法では「食事と食事の間」ということを指しているので、「食後2時間」と解釈しても良いと考えられます。
このように、お薬の用法にはそれぞれ定義があるので、しっかりと把握することが求められています。
多くの場合はお薬手帳の巻頭や巻末に記載されているので、一度チェックしてみると良いでしょう。
特に用法に注意をしなくてはならない薬剤は?
特に用法に注意をしなくてはならない薬剤の代表例として、糖尿病治療薬が挙げられます。
糖尿病のお薬では、食物によって上昇する血糖を下げることを目的としているので、服用するタイミングが非常に重要となります。
あるお薬では、食直前に服用することで食事による高血糖を防ぐように設計されているので、食後やそれ以降に飲んでしまったのでは、効果が間に合わなくなってしまうのです。
まとめ
今回は、お薬の服用タイミングである「食後」という用法を中心に、ご説明させて頂きました。
お仕事をされている方では、食事時間も定まっていない方も少なくはなく、用法を遵守することは難しいかもしれません。
お薬によっては、調節が可能な場合や、配合錠などの別の方法を検討出来る場合もあるので、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
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