医療事務の退職金の相場・平均はどのくらい?支払い義務はあるの?

 

企業側からすると退職金の支給は、高額であるため経営に大きな影響を与えます。また将来の債務にもなりうるため頭を抱える問題としている企業も少なくありません。一方、多くの従業員にとって退職金は退職後の生活保障として役立ちます。

医療事務も一般の職業と同様に、退職金制度があります。そして、医療事務の仕事を辞めたいと考え始めた時、やはり気になるのが退職金です。

実際のところ、どのくらいもらえるものなのでしょうか?

ここでは、医療事務の退職金について、相場やリアルな現実を見ていきたいと思います。

 

退職金の基礎知識

退職金とは?

退職金は、従業員に対して退職を理由に支払われる手当のことです。主に老後の生活の保障や、会社に貢献したことに対する報奨金といった意味で支給されます。

日本だけのことではなく、欧米などの海外でも退職金はあります。ただし法定化されている国とされていない国、法定化されていなくても習慣的に支払われる国などあり、その金額や条件はさまざまです。

 

退職金制度とは?

退職金制度は正式には「退職給付制度」と言い、従業員の雇用確保を目的として多くの企業が導入している制度です。

また退職金が支払われるためには「任意退職、定年、解雇、死亡などの事由で雇用関係が消滅すること」と厚生労働省は定義しています。

さらに退職金制度には支給形態によって「退職一時金制度」と「退職年金制度」の2つに分けることができ、前者は退職金を一括して支給する制度であるのに対し、後者は一定の期間、あるいは生涯にわたって一定額を年金として支給する制度です。

「退職一時金」か「退職年金」かのいずれか片方のみ導入している企業もあれば、両方とも併用している企業もあります。いずれも導入していない、つまり退職金は一切なしという企業もあります。

勤務先の退職金制度について、就業規則などで確認しておくと良いでしょう。

 

支払い義務は?

退職金は本質的には賃金の後払いです。したがって退職金制度は基本的に終身雇用制を慣行としてきた日本においては永年勤続を奨励する意味もあって広く行き渡っています。

しかしながら退職金制度は法律上、導入する義務はありません。つまり退職金制度を設けなくても違法ではなく、退職金制度のない企業では事業主は退職金を支払う必要はありません。

ただし企業の就業規則に退職金の規定を設けた場合、退職金は賃金の一部とみなされます。そのため、退職金を支給する義務が発生します。

また、就業規則に退職金の規定がない場合でも過去に退職金を支給しており、一定のルールに基づいた上で慣行として支給している企業は退職金を支給する義務が発生する可能性があります。

これらのことから、医療事務が退職金をもらえるかどうかは勤め先の就業規則などによるところが大きいため、一概には言えません。

 

退職金の相場はどのくらいなの?

東京都産業労働局『中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)』によると、例えば「大卒で勤続10年の32歳」の人が、自己都合で退職した場合の退職金の相場は、約121万円です。

自己都合の場合

大卒で勤続5年の若手社員が、自己都合で退職した場合の退職金の相場は、大企業だと約65万円、中小企業だと約44万円と言われています。

会社都合の場合

また、同じ勤続年数であっても、経営悪化による人員削減等の会社都合による退職の場合は、相場がかなり違ってきます。大企業なら約120万円、中小企業なら約63万円で、自己都合による退職の1.5倍~2倍の退職金を受け取れるケースが多いようです。

 

医療業界の退職金事情は?

医療業界は優遇されている

厚生労働省「平成30年 就労条件総合調査」によると、退職金制度がある企業は全体の77.8%です。医療・福祉の業種に限ると、87.3%です。

他の業種と比較すると、退職金制度そのものは用意されている率が高いと言えます。

大規模病院の方が優遇されている

大学病院のような大きな病院の場合だと、賞与や退職金制度などが充実しています。例えば、高卒で60歳まで42年間働いた場合だと、1,000万~2,000万円台の退職金をもらえるのが相場です。

しかし、小規模のクリニックや個人医院等では、退職金制度があったとしても金額が少ないところも珍しくありません。また、勤続年数が短く、自己都合での退職の場合だと、ほとんど期待できない場合もあるでしょう。勤続3年未満で自己都合での退職の場合は、支給されないケースが多いです。

 

退職金制度の必要性

賃金と違って退職金は、本来支給する義務はありません。したがって退職金制度を導入するかどうかは企業次第です。

近年では企業への貢献度を退職金に反映させるところが増えてきている傾向がありますが、企業への貢献度や業績は賞与に反映すべきだとする意見も少なくありません。

確かに企業への貢献度を期待するために退職金制度を導入するよりも、貢献度に応じて支給額が決まる成果主義のほうが従業員のモチベーションを向上させやすいでしょう。

こうした成果主義人事の高まりは退職金制度を見直すきっかけの1つとなりました。

 

退職金制度の廃止

最近では退職金制度の見直しをする企業が増加し、退職金制度を継続しても給与水準を引き下げたり、退職金の算出方法を変えたりした企業は少なくありません。またそうして見直した結果、制度廃止に踏み切った企業もあります。

廃止にいたる背景としては、前述したような終身雇用制を奨励する年功序列的な考え方から、成果主義への改革に伴うものや企業合併などが挙げられます。

また単純に経営不振によって退職金の支払いが困難であるといった理由もあるでしょう。

しかしながら退職金制度の廃止は従業員にとって退職後の生活保障を失うことになるため、何らかの代替措置が必要になります。

そのため就業規則を変更して退職金制度を廃止するには、労働者が受ける不利益の程度や就業規則を変更する必要性などを検討して合理性がなければなりません。

 

退職は一時の感情ではなく、計画的に

医療事務を辞めたいと考える理由は人それぞれですが、退職後の明確なプランがないままに、一時の感情にまかせて勢いで辞めるのはリスクが大きいです。

あと2~3ヶ月辞めずに辛抱したら退職金がもらえたのに、少し早まったがために退職金がもらえず、さらに自己都合なので失業給付もすぐにはもらえず、ダブルでピンチが続いたといった事例もあります。

また、勤続年数が長ければもらえると思い込んで安心していたら、実は退職金制度そのものがなかったなんてこともあります。

やむを得ない事情で急に退職しなければならない場合を除いて、できる限り事前に計画を立てて決めるようにすることをお勧めします。

 

まとめ

退職金制度は法定された制度ではないため就業規則に退職金制度がない場合、退職金は支払われません。

したがって医療事務が退職金をもらえるかどうかは勤め先の就業規則次第と言えます。ただし就業規則にはなくても慣行として退職金を支給しているところはその限りではありません。

お勤め先、または、これから就職する医療機関に直接聞いてみる必要性がありますね。重要なことなので、一度確認してみましょう。

 

医療業界に限らず、自分が思っているよりも世間は狭いものです。思いがけない場所で、前の職場の人にばったり出会うこともあります。

そんな時に、気まずい思いをすることなく、笑顔で挨拶ができるよう円満な退職を目指しましょう。

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