調剤薬局事務は医療に関わる職業の1つではありますが、調剤薬局事務になるために専門知識は必要ありません。しかしながら働く前に身につけておいたほうが実際に現場で働くときに役立つ知識もあります。
それでは調剤薬局事務として仕事をはじめる前に、どのようなことを学んでおいたらよいのでしょうか?
調剤薬局事務は専門知識がなくても務まる
調剤薬局事務として働くにあたって学んでおいたほうがよいことをご紹介する前に、そもそも「調剤薬局事務は専門知識がなくても務まる」ということをはじめに述べておきます。
調剤薬局事務は資格や経験、知識がなくても問題のない、誰にでも務まる職業です。調剤薬局事務にとって必要な知識は、実際に働いていく上で自然と身についていきます。これはどのような仕事でも同じことが言えるでしょう。したがってあらかじめ何かを勉強したり、経験をしていたりする必要はありません。
レセコンが使用できれば問題ない
処方箋情報の入力やレセプト(調剤報酬明細書)の作成と請求といった調剤薬局事務のメイン業務には、レセコン(レセプトコンピューター)と呼ばれる専用のパソコンを使います。
つまりレセコンの操作方法さえわかっていれば、調剤薬局事務としての仕事のほとんどを問題なく進めることができるわけです。
お薬代の計算などの必要な計算や処理はすべてレセコンが行ってくれるため、ある意味では調剤薬局事務にとって一番必要な知識はレセコンの使い方に関する知識であると言えるかもしれません。
それならば前もってレセコンの使い方を学べばよいのではないかと考える人もいるでしょう。しかしながらどのようなレセコンを導入しているのかは薬局によって異なるため、実際に現場で働きながら学んでいくほかないと言えます。
難しいお薬代の計算
調剤薬局事務として働くにあたっての必要な知識は、レセコンの操作方法を含め働いていく中で徐々に身につくものだと前述しました。
とはいうものの、事前にある程度の知識を持っていたほうがいざというときに役立つのも事実です。その例の1つとして複雑なお薬代の計算方法についてご紹介します。
私達が薬局で支払うお薬代は、薬剤師の技術料と薬そのものの値段から成っています。そしてこの技術料と薬価は厚生労働省によって全国一律に定められ、適用されています。
ところが調剤報酬というものは2年に1度改定されるため、同じ薬を同じ日数、同じ量処方されていてもお薬代が常に同じであるとは限りません。
さらに技術料は「点数」、薬価は「円」で定められているため、お薬代を求めるには点数と円を合わせて求める複雑な計算が必要になります。
「なぜその値段なのか?」に答えられるように
お薬代の計算は当然のことながらレセコンが行ってくれますが、どのような計算方法で求めているのかを理解していないと困ることがあります。
お薬代の計算は「円」を「点数」に変換する決まりがあるのですが、その時に5を超えるものは切り上げてそれ以外を切り捨てる「五捨五超入」を行います。
実はこの五捨五超入によって、たびたび「薬の種類が増えたのに値段が変わらない」「薬の種類が減ったのに値段が変わらない」ということが起こるのです。
どういったルールでお薬代の計算をしているのかを知らない患者さんは、当然疑問に思います。しかしお薬代の計算ルールを知らなければこの疑問には答えられません。
最悪の場合クレームに発展する可能性もありますから、こうした知識は前もって学んでおくとよいでしょう。
まとめ
金銭が関わる問題であるため、お薬代の計算に関する知識は身につけておいたほうがよいと言えます。
またレセコンは最短で処理結果や計算結果を出してくれる便利なものですが、どういう過程を経てそうなったのかまでは教えてくれません。
したがってお薬代の計算方法に限らず、「なぜそうなるのか」という理屈を事前に知識として頭に入れておくといざという時に役立つかもしれません。
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