調剤薬局事務の資格を持っている人もそうでない人も、取得していると調剤薬局事務の採用に有利になるかもしれない資格が「登録販売者」です。
登録販売者は、すでに調剤薬局事務として働いている人がスキルアップのために取得することも多い資格です。
登録販売者とはどんな資格か
登録販売者という名前からはどのような資格かわかりづらいのですが、簡単に言うと薬剤師でなくても医薬品の販売ができる資格のことです。
ただし販売できるのは医薬品の中でも一般的に市販薬と呼ばれることの多いOTC医薬品(一般用医薬品)に限ります。
つまりこの資格を取得することによって薬局はもちろんドラッグストアなどにおいて、鎮痛剤やかぜ薬、胃薬といったOTC医薬品の販売を薬剤師でなくてもできるようになるということです。薬剤師に次ぐ医薬品の専門家とも呼べるでしょう。
薬局によってOTC医薬品を取り扱っているところは少なくありません。そのため薬剤師以外に登録販売者の資格を持っている者がいると、販売はもちろんOTC医薬品に関する情報提供や「この症状にはどの市販薬がおすすめなのか?」といった質問にも対応できるようになります。
したがって忙しい薬剤師の負担が軽減されることもあり、登録販売者の資格を持つ調剤薬局事務は重宝されます。
資格はどうやって取るのか
それでは登録販売者の資格はどのようにして取得するのでしょうか?
登録販売者の資格を取得するためには、各都道府県で行われる登録販売者試験に合格する必要があります。受験資格についてですが、改正により2015年から受験資格はなくなったため、年齢や学歴を問わず誰でも受験できるようになりました。
試験は都道府県ごとによって実施され、試験内容も都道府県ごとによって異なり、試験日も都道府県ごとによって違います。しかし試験問題の難易度に差はありません。どの都道府県の試験問題も厚生労働省が定めるガイドラインに従って作成されています。
登録販売者は国家資格でありながら受験資格がないため、受験資格が必要な他の国家資格に比べて取得しやすいと言えるでしょう。実際、登録販売者試験の近年の合格率はすべて40%台です。
同じく受験資格のない国家資格である宅地建物取引士(合格率は15%前後)と比べても、取得しやすい部類であることがわかります。
試験に合格しただけではダメ
さて登録販売者として働くには、実は登録販売者試験に合格しただけでは不十分です。登録販売者になるためには、勤務先の都道府県で「販売従事登録」をすることが必要になります。
複数の都道府県で販売従事登録をすることはできませんが、登録後はどの都道府県でも働くことが可能です。
また「最近5年間のうち登録販売者としての実務経験が2年以上の者」に限り、正規の登録販売者としての権限を与えられ、店舗管理者になることができるようになります。
OTC医薬品を取り扱っている薬局には有利?
OTC医薬品を取り扱っている薬局ならば調剤薬局事務が登録販売者の資格を持っていることは、薬剤師の負担軽減の面からも重宝されるため、薬局によって就職の際は有利に働くこともあります。しかしOTC医薬品を取り扱っていないところではそうでないことも多いでしょう。もちろん薬に関する知識が身につくため登録販売者の資格を持つことは決して無駄なことではありません。
しかしもともと調剤薬局事務は資格や経験がなくても務まる職業です。さらに登録販売者の資格や知識を最も活かして働くことができるのは、調剤薬局事務ではなく登録販売者として働いているときですから、安易に調剤薬局事務の就職のためだけに取得するのは考えものかもしれません。
まとめ
OTC医薬品を取り扱っている薬局ならば、就職の際に登録販売者の資格を持っていることが有利に働くこともあります。
しかしながらすべての薬局がOTC医薬品を取り扱っているわけではない上に、そもそも調剤薬局事務は無資格でもできる仕事です。
したがって就職のためだけに登録販売者の資格を取得する必要があるのかどうかよく考えたほうがよいでしょう。
- 登録販売者の難易度と合格率
- 調剤薬局事務に求められる人材とは?どんな人が必要とされるのか
- 調剤薬局事務の将来性
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